sam's diary - 日々のとりとめもないことをつらつらと

実名でやっているFacebookでは書き辛いことをここで吐きます

中国や韓国が日本嫌いだからと言って、日本が嫌韓、嫌中で良い訳がない筈だが・・・

 最近、Facebookを見ていると、僕の友人の中でも、「中国嫌い」、「韓国嫌い」を半ば公言する人が散見される。そして、中国人や韓国人が我々日本人にどれだけ酷い仕打ちをしているかといった内容の記事を見つけては、それに「いいね」をしたり、その記事をシェアしたりしている。加えて、思想的に「右翼」、「国粋主義者」と思われる人物を肯定したり、応援したり・・・。個人的には誠に嘆かわしいことだと思うが、彼らと討議しても不毛なので、単にスルーするだけにしている。

 最近の嫌韓、嫌中の風潮を見ていると、我々が子供の頃に、何も知らないまま、ほとんどの日本人が持っていたそれとはかなり異なる気がする。我々が子供の頃は、好むと好まざるとにかかわらず、韓国や中国は嫌いというよりは軽蔑の対象であったかと思う。例えば、苗字が韓国や中国の人の日本名にあるようなもの、つまり、「金」等の漢字が用いられていると、何も考えずにバカにしたりした。そして、中国から日本に何らかの事情で渡ってきて住んでいるような人に対して、その日本語が少々イントネーション等が変であることをバカにしたものである。私は自分自身もそういう経験をしながら、一方で零細な建築設計事務所を経営した父が、「実は韓国人や中国人の方が信頼できる」と言い、そういう人達と親密であったという環境で過ごした。その時は感じなかったことであるが、結局は何も知らない、つまり無知が偏見を生むということが、今では漠然として分かる気がする。

 かつての中国、韓国に対する嫌いという感情は、要は蔑む気持ちであり、中国や韓国では生活が出来ないから日本に渡ってくる経済的な弱者に対する軽蔑の念であったのに対し、今はまったくことなる。中国に対しては、日中国交正常化日中友好条約の締結により、プチ中国ブームが起こり、韓国については、いわゆる「韓流ブーム」があり、加えてサッカーW杯の日韓共催があり、両国共、国民レベルでは極めて近くなった時期があった。今では在日韓国人や在日中国人に対する蔑視や偏見もほとんどなくなっていると思う。今では在日の方でも韓国名を正式な名前としている人も、大多数ではないがいる。

 しかしながら現在の嫌韓、嫌中である。その根源には、「日本は何も悪いことをしていないのに、相手が一方的に日本を嫌っている。そのような反日教育をしている」という考えがある。つまり、向こうが内政面での国民の不満を逸らすために反日を使うなら、こっちも嫌ってやる!というものである。

 確かに、中国、韓国の双方において、反日教育は酷い。ただし、それは初等教育レベルのものであり、その後、大学で学び、時には海外で学び、さらに、国外と舞台としてビジネスをするようになると、徐々にそのような偏見は消える。そして、自国の反日教育がいかに偏った誤った教育であったことを知るに至る。したがって、我々が中国や韓国でビジネスをする場合、まったく反日感情を感じることがない。そして、日本の良い部分を吸収しよう、日本から学ぼうという極めて謙虚な姿勢を見ることも出来る。

 我々も、これからのビジネスにおいて、国内だけですべてを完了することは出来ない。確かに、中国や韓国を無視してもビジネスは出来るという意見もあるだろう。しかし、何と言っても中国や韓国は最も近い隣人であり、彼らをわざわざ避けてグローバル・ビジネスを展開することが賢明とは思えない。

 私が個人的に思うのは、中国にせよ韓国にせよ、国民と政府は別だということである。これは冷戦時代のソ連についてもよく言われたことである。つまり、例えば反日教育をするというのは政府の仕業であり、国民はそれに従っているだけであるということである。ただし、正しい教育や正しい知識付与が行われていれば、少なくとも反日を大前提とした国民にはならないと考える。

 したがって、中国や韓国の人々が反日嫌日だからといって、そこは我々が彼らより深く思慮した上で、「悪いのは国民ではなく政府である」と理解することが必要なのではないかと思う。そして、彼らと仲良くするべくこちらから歩み寄ることにより、自然に彼らの日本に対する偏見も解けるのではないかと思う。

 ただし、我々ビジネスの世界ではそのようなことはする必要もない。ビジネスの世界に身を置く中国人も韓国人も、日本と仲良くし、日本と一緒にビジネスを成功させたいと思っている。

 日本においては極めて反日的思想を有し、対日強硬派とされている習近平であるが、彼は国内における人心掌握の手段としての反日および対日強硬派に対し、実務的には日本企業誘致に極めて積極的という、両面での使い分けをしている。ここで中国の表面的な反日を真に受けて中国に対して距離を置くか、それとも正反対に千載一遇のチャンスと判断するかによって、10年後には大きな差が生まれるものと思われる。